皆さんは非常食でどんなものを備えていますか。被災した際に必要な食料とは何なのでしょうか。
(Q.非常食ってどんなもの備えておけばいいかイメージありますか)「色々と聞くんだけどね、車には積んでるんだけどね、お菓子と…」
「出来るだけ日持ちするものと、すぐ食べるものを考えながら回してます」
青森県の災害備蓄指針によりますと物資の流通が確保されるまでの想定3日間は、個人の備蓄を、市町村と県が補完するかたちで過ごすことが想定されています。しかし…
【県防災危機管理課 若山真紀子主幹】
「大規模災害時、能登半島地震を思い浮かべてもらうといいと思うんですけど、道路が寸断されて、実際に物流が止まってしまって、行政なり、消防、警察それから自衛隊が行きたくてもいけないですよね」
「行政による支援を待つというのは現実的に難しいと思うんですね。これを『公助の限界』というんですけど、そういった時にどうすればいいのかというと、まずは自分の命は自分で守るしかないんですね」
では、個人の備えが全くなければ…
例えば八戸市ではご覧のラインナップを備蓄しています。主食は充実していますが、おかずとなる缶詰の数は少なく、避難者全員にいきわたるとは限りません。
また、県ではアルファ化米を備蓄しています。いつ届くか分からないこれらを、ただでさえ不安な避難所生活でひたすら待つということが考えられます。
東日本大震災や能登半島地震でも、現地で栄養指導をした県栄養士会の齋藤長徳さんはこう話します。
【県栄養士会 齋藤長徳会長】
「どうしても非常食って食べ慣れなくて、ちょっと味付けが自分に合わないとか色々ありますので、普段から非常食をとっていただいて、それに慣れる、それと普段自分が食べ慣れているものを非常食としてとっておくことが大事だろうと思います」
今回は、県と八戸市の備蓄品を参考に、個人の持ち込みがない場合を想定して、およそ3日間過ごしてみました。なお今回は、水の量は考慮しないものとします。
【福代隼士アナウンサー】
「1日目の昼です。県と八戸市の備蓄を参考に、用意したのはこちらです。どれも食べるのは初めてです。お昼はまずこのアルファ化米をいただきます」
お湯が使えなくても水で作ることができます。待つこと1時間。
【福代隼士アナウンサー】
「いただきます。無味乾燥で食べづらいかなと思ったんですが、これなら食べられます」
【1日目の夜】
「きょうの夕食はフリーズドライご飯をいただきます」
アルファ化米と製法が異なり、水で作る場合、5分で食べられます。
2日目も、水で作ったアルファ化米を3食食べ進めますが…
【福代隼士アナウンサー】
「しょっぱいものが続いていて、かなり甘いものが食べたくなります」
さらに、こんな思いも。
【福代隼士アナウンサー】
「とにかく温かいものが食べたくなります」
【3日目 朝】
【福代隼士アナウンサー】
「最後の食料、ビスケットをいただきます」
2日ぶりに食べる甘いもの、ありがたみを感じました。
【福代隼士アナウンサー】
「これで、すべての食料を食べ尽くしたことになります。やはり個人の備えがいかに大切なのかを実感しました」
自分の命は自分で守る。災害時の食事においても「自助」の考え方が大切です。
【県栄養士会会長 齋藤長徳さん】
「とにかく食品なので、食べてみるということと賞味期限があるんだよということで、よく『ローリングストック』っていうので、必ずまた食べ終わってから補充するっていうことを考えていただければと思います」
【県防災危機管理課 若山真紀子主幹】
「ちょっと難しいかなと思うかもしれないんですけど、日常の生活の中で、毎月何日とか決めたり、1年間で1回でもいいので、自分の生活に必要なものは何なのかなってかたちで見直していただくっていうのはできるかなと思うんですね。
逆にそれを何もしていないと、この袋の中は空なわけですよね。空の状態で逃げることはできると思うんですけど、そこで生き延びることができるかっていうのはまた別の話。そう思っていただくと、自分の身を守るための最低限の備えと考えていただいて、準備していただければなと思います」
食べ慣れた食料の備えがストレスを減らすことにつながると気付き非常食の備えは日常の延長線上にあるんだなと感じました。
大切なのは個人の備えですが、日々変化している公的機関の支援体制について知っておくことも大切です。「プッシュ型支援」は被災地からの要請がなくても、国が被災地へ物資を届ける仕組みのことです。
東日本大震災以降はこのプッシュ型支援が機能し、おにぎりや菓子パンといった炭水化物が、いち早く届けられているんですね。実際に能登半島地震では発災から2日目にはパンが届けられたという記録があります。
取材した県栄養士会の齋藤会長によりますと、まずはそうした炭水化物をきちんと食べ、エネルギーを補給すること。また水分をよく取ることが大切だということです。
県や市町村・国からの支援体制を知りながら災害時に後悔のない準備を心がけましょう。