地震や大雨など自然災害が発生するとライフラインが止まり、それまでと同じ生活を送ることが難しくなる可能性がある。「災害時のトイレ」について、アウトドアを取り入れた防災を広く伝える及川真一さんに教えてもらった。
能登半島地震の被災地では、長期にわたる断水などによってトイレが使えない地域があった。仮設トイレの設置や携帯用トイレの配布が進んでいるものの、様々な課題が浮かび上がっている。
「命を守り、つなぐすべ」を広く伝えている日本赤十字秋田短期大学の講師・及川真一さんは、「水や食料を備蓄するイメージが多いかと思うが、実はトイレ問題の優先度が高い場合がある」と話す。
災害時に使える「携帯・簡易トイレ」には様々な種類があるが、買って安心していないだろうか?
日赤秋田短大・及川真一さん:
「携帯トイレは、買って安心という人が多いと思うが、ぜひ中を開けて、自分が災害時に使用するイメージをして、自分に合う・合わないを考えてほしい」
いざという時のために、使いやすさなどを実際に確かめ、安心できるトイレ環境を整えておくことが重要だ。
自宅で避難生活を送るときは様々な方法がある。自宅のトイレが使える状態であれば、「黒いごみ袋」を活用して簡易トイレを作る。中に排泄物を固める「凝固剤」を入れれば使用できる。
凝固剤は、代用できるものがあるという。新聞紙を使うのもその一つということで、実際に新聞紙を使った場合と、凝固剤を使った場合のどちらが処理しやすいかを実験してみた。その他、猫用のトイレ砂、おむつも用意し、どれくらい水を吸うのか・捨てやすいのかを試してみた。
日赤秋田短大・及川真一さん:
「どれも吸水はした。ごみの量もあまり変わらなかったと思う。ただ、トイレ専用に作られていた凝固剤は粉のようになっていた。それぞれごみの問題もあるので、各自に合ったものを備えてほしい」
また、携帯用のウォシュレットもある。電池がいらないタイプのものは、プッシュするだけで水が出るという。
内閣府が行った消費動向調査によると、国内の温水洗浄便座の普及率は8割を超えている。こうしたグッズが1つあると、災害時はもちろん、介護や赤ちゃんのおむつ替えなど様々な場面で活用できる。商品によって使い方などが異なるため、自分に合うものを選ぼう。
この他、周りの視線が気になるときに活躍するグッズもある。
日赤秋田短大・及川真一さん:
「ポンチョタイプ、フード付きのものもあるが、防災用に1つ用意しておくと、例えば着替えをしたり、排泄をしたりするときに人に見られないように肌を隠すことができる」
トイレを使う回数を減らそうと水分を控えると、脱水症状など体調不良につながる恐れがある。災害時は、日常とかけ離れた生活を送らなくてはならないが、衛生環境を整えることが心と体のストレス軽減につながりそうだ。