どのタイミングで・誰が・何をするかを決めた「防災タイムライン」があると、迷いなく防災行動をとることができる。2019年の台風で被災した家族が、タイムラインの作成に挑戦した。
<2日間 孤立状態に>
福島県川俣町小島地区。2019年の東日本台風で300ミリを超える大雨が降り、阿武隈川の支流の広瀬川が氾濫し住宅2棟が全壊した。
土石流で道路が寸断され、2日ほど孤立状態を経験した小貫友秀さん一家。今回、協力をいただき「マイタイムライン」を作ってもらった。
<まずは必要なものを考える>
「モバイルバッテリーとか?」…最初に切り出したのは、中学1年生の孫・星那さん。情報と連絡手段の確保が最優先と考え、準備は星那さんが担当することに。
高校生の琉空さんからも「できるだけ多く、ごはんとか水とか買っておく」との提案が。食料の備蓄は友秀さんの妻・幸子さんが担当することになった。
しかし最近、気づいたことがあった。「防災袋の中に色々入っていて、その食料品が1年前に消費期限が切れてた」と友秀さん。備蓄している食料のチェックも欠かせない。
<経験から気付いたことも>
娘の友美さんからは「ガソリンとか、車を満タンにしておく」と、東日本大震災を踏まえた意見が出された。友秀さんは「震災の時ガソリンがなくて並んだからね。車でしか、この辺は移動できないからガソリンは必要だね」と答えた。
<はなよちゃんの避難も>
ここで仕切り役の友秀さんからある人物の名前が…「はなよちゃんに連絡!」
はなよさんは、東日本台風のときに川の氾濫で崩落した道路のすぐ近くで一人暮らしをする高齢女性。無事に避難させることも、タイムラインに加えた。
<台風だけでなく線状降水帯も視野に>
友秀さんは「いわきの被害は対岸の火事ではない。本当にいつ起こるかわからない。線状降水帯で一度に雨が降ったら、この辺はただでは済まなくて。たぶん台風19号よりもひどいことになると思う」と話す。
さらに土砂災害も考えて、台風が最接近する6時間前には2階の安全な部屋に、みんなで待機することを決めた。
<それぞれの役割を可視化>
災害の記憶を思い出しながら避難の仕方も再確認し、タイムラインが完成した。友秀さんは「私がいないときには、やることを思い出して孫たちとか娘とかが対応すると思う。こういうのを書き出して、意識を合わせるってのは大事」と話した。