関東大震災が発生した9月1日=「防災の日」を間もなく迎えますが、いざという時の備蓄品である「非常食」が進化しています。実際の避難者たちの要望を取り入れたという新たな非常食が東京都内で発表されました。災害への備えは万全ですか?
新たに発売される非常食の豚汁やけんちん汁とお米のセット「一汁ご膳」(想定価格・680円)は、非常食を製造・販売する東京・港区に本社を構える尾西食品が実際に避難したことのある人たちの声を集め、「ご飯と汁物を一緒に食べたい」という要望に応えて開発しました。
このセットの特長は「水なしでも食べられる」ことです。水やお湯がある時にはお米と汁物を分けて味わえますが、水がない時はアルファ米に汁物を注ぐことで炊き込みご飯として食べられるようになっています。さらに「避難生活では、食事をするためのテーブルがない」という声にも応え、手に持ったままでも食べやすいようにと注目したのが「外箱の活用」です。外箱を折るだけで手で持てるようになるだけでなく、箱の側面に親指を差し込むとしっかりと支えられ、こぼれやすい汁物も安定します。
使い勝手も追求したこの新たな非常食は、常温で5年半保存できるということです。尾西食品・商品開発部の伊藤秀朗部長は「非常食は買った後、災害があるまで食べてはいけないという思いは当然あると思う。しかし何カ月に1回でも『少し食べてみようかな」と、ローリングストック(非常食を食べ、順に補充していく)を取り入れてほしい」と話しています。
被災者たちの声から生まれた非常食は、今後もよりおいしく、より食べやすく進化していきそうです。